「青空文庫(i読書)」というアプリを使って、
スマートフォンで読書をすることがあります。

太宰治、芥川龍之介、夢野久作、宮沢賢治、小川未明など
大好きな作家の作品を、いつでもどこでも読むことができて
便利です。

電子出版についてああだこうだと議論される機会は多いですが、
このアプリを使うようになって明確に感じたことは、

「電子書籍は、本の内容を【知る】ことができ、
 紙の本は、【心に残す】ことができる」

ということです。

電子書籍で読書をすると、本の内容を当然のことながら知ること
ができますし、もちろん喜怒哀楽も感じて作品自体を楽しむこと
ができます。

しかし、紙の本を読んだ時ほど、

「心に残らない」

のです。

紙の本のあの重さ、匂い、ページをめくる時の指先の感触と音、
しおりを挟んで本を閉じる瞬間の気持ち、しおりを確認して
本を開く瞬間の気持ち。

そういうものが作品そのものを心の中に置き去りにしてくれる
効果を生んでいるのだと思います。

同様のことは音楽についても言えるのではないかと
心配するようになりました。

楽曲配信やYouTubeによって音楽を聞くのはとても便利で、
僕も毎日そうやって音楽を聞いています。

たくさんの音楽を【知る】には好都合な環境です。

しかし、音楽を【心に残す】ことができているでしょうか。

音楽を心に残すためには、ライブやコンサートなどで生演奏を
体感したり、レコードやカセットテープ、CDなどを介して、
音楽を現物保有することが必要なのではないかと感じています。
(CDは、厳密には楽曲配信に近いと思っていますが)

パソコンの中に一つのファイルとして保管されている音楽と、
アナログレコードで保有している音楽のどちらが、自分にとって
より素敵な効果を生み出してくれるかは、容易に想像することが
できるでしょう。

今日の音楽

真夏の夜の夢/作曲:山谷 知明