打ち合わせの現場では、ほとんどの人がノートパソコンやタブレ
ット端末を開いているような時代ですが、僕は打ち合わせに
ノートパソコンやタブレット端末を持っていくようなことは
ほとんどありません。

打ち合わせに向かう時に携えているカバンに入っているのは、
大型のノートとペンだけ。

打ち合わせは紙とペンがあれば十分です。

僕は音楽制作業を営んでいますが、経験上、ノートパソコンで
音楽ファイルを再生し、それを打ち合わせの中で試聴するという
のは、かなり不毛な時間であると思っています。

ノートパソコンで音楽を試聴してもロクなことはありません。
まず、機器の構造上、性能の低いスピーカーしか付いていないた
め、かなり貧相な音質でプレビューさせてしまうことになり、
良さは全く伝わらず、悪さだけが目立って伝わってしまう危険性
が大いにあります。

また、参考曲として、YouTubeなどWeb上のコンテンツにアクセス
してみんなでプレビューすることがありますが、通信状況によって
再生中に途切れてしまったり、表示される広告を消そうとすること
に意識が向いてしまって、まともに音楽を試聴できません。

打ち合わせは、「話」を中心とするのが一番良いと感じています。

アーティスト名と曲名を挙げて、

「あの曲の、あの部分のような感じで」

と言葉だけで伝え合い、プレビューは各々が自分の作業場に
戻ってから集中してすべきだと考えています。

挙げられた曲を知らなかったら、アーティスト名と曲名をメモ
して後でじっくり聴けばいいのです。

また、

「ミドルテンポで、ピアノがメインで、やわらかい感じの曲」

などというように、イメージを言葉で伝えるのも良いでしょう。
既存の参考曲を挙げられるとそちらに制作イメージが引きずられ
てしまう傾向がありますが、イメージを言葉にして伝えること
によって制作の幅にふくらみを持たせることができます。

紙の上には無限の白があり、ペンを使ってそこに無限の世界を
描くことができますので、ノートパソコンなどを使うよりも、
打ち合わせのスケールがどんどん広がっていくのです。

今日の音楽

スペクタクル/作曲:山谷 知明